当麻鍾乳洞は、旭川市に隣接する当麻町にある、透明度が高く美しい、また学術的にもとても貴重な、見どころ溢れる鍾乳洞です。
当麻鍾乳洞は北海道天然記念物に指定されており、不純物の少ない結晶からできた白く美しい「カーテン」「石柱」など、鍾乳石の種類の多さが魅力です。
当麻鍾乳洞は全長135メートルと、洞窟体験初心者でもムリなく挑戦できるサイズですので気軽に体験できます。
自然環境に恵まれたイメージが強い北海道ですが、実は鍾乳洞は5か所しかなく、公開されているのは当麻鍾乳洞を含めて2か所のみです。
当麻鍾乳洞は、2頭の龍が横たわっているようなその形から当初「蝦夷蟠龍洞」と名付けられ「蟠龍伝説」のもとになりました。
この記事では、当麻鍾乳洞の見どころや所要時間、歴史や蟠龍伝説、アクセス方法などを詳しく解説します。
タイムスリップしたような体験ができる当麻鍾乳洞です。
当麻鍾乳洞の見どころ3選
当麻鍾乳洞は、鍾乳石の透明度が非常に高く、学術的に見ても大変貴重な鍾乳洞です。
北海道で公開されている鍾乳洞は2か所のみで、その一つ当麻鍾乳洞は、北海道指定天然記念物として公開されている唯一の洞窟です。
全長135メートル・高さ8メートル程度の小規模な洞窟。はるか1億5千万年前のジュラ紀からゆっくりと長い時間をかけて当麻鍾乳洞となりました。
当麻鍾乳洞の見どころを3選お伝えします。
不純物の少ない透明度の高さ
当麻鍾乳洞の見どころは、何と言っても不純物の少ない透明度の高さにあります。不純物が少なく透明度の高い、方解石結晶(結晶度が極めて良い状態)であることが特徴です。
不純物の少ないことにより、純白で白絹のようなキラキラと輝く無数の鍾乳石を、「幸運の間」で見ることができます。
当麻鍾乳洞の透明感のある鍾乳石は、国内の鍾乳洞の中でもトップレベルの美しさと言われています。
当麻鍾乳洞は、鍾乳石の質の良さから1961年(昭和36年)北海道天然記念物に指定され保護されています。
鍾乳石の種類の多さ
当麻鍾乳洞は、小規模の鍾乳洞ですが、鍾乳石の種類の多さが魅力です。鍾乳石が3㎝成長するのには、約200年の歳月が必要と言われています。歳月の長さを感じながら見るのも楽しいですね。
当麻鍾乳洞では、以下の鍾乳石を見ることができます。
「石筍(せきじゅん)」…天井から水滴が高く伸びて筍状になったもの。
「石柱」…つららと石と石筍つながったもの。
「カーテン」…天井や壁から滴る石灰石が薄い膜状になっている。
「フローストーン」…結晶がぎっしり並んでのびた流れ石。
「つらら石」…つららのように天井から吊り下がっている。
「鍾乳管」…天井から同じ太さでパイプ状に連なっている。
学術的に貴重
当麻鍾乳洞には、「管状鍾乳石」があります。根元から先端まで直線状に伸びる鍾乳管で、学術的に世界でも極めて珍しい鍾乳石です。他の鍾乳洞ではあまり見ることが出来ません。
別名は「マカロニ鍾乳石」。半径約5㎜の細さで、天井に附着する根元から先端まで直線状をなしています。中が空洞になっており「マカロニ」に似ていることから、この名称で呼ばれています。
当麻鍾乳洞の中では、「白仙杖」とかかれた案内板があり、10本程度の「マカロニ鍾乳石」が並んでおり、可愛らしい表情で楽しませてくれます。
当麻鍾乳洞の所要時間は?
当麻鍾乳洞は、全長135メートル・面積は約1500㎡とされており、中生代石灰岩体中の鍾乳洞としては比較的小規模ですので、所要時間はゆっくり見ても15分くらいです。
当麻鍾乳洞の洞窟内部は、上中下の3段階に分かれており、女神の間、鳳凰の間など合わせて5つの部屋に区切られ、それぞれ狭い通路で結ばれています。この他確認されている穴も数か所あり、まだまだ神秘の世界が残されています。
当麻鍾乳洞は、歩道も整備され、手すりや階段も設置されています。赤や緑などカラフルな色でライトアップされているところもありますので、楽しく快適に見学することができます。
また、洞窟の中では音声によるガイダンスが流れており、当麻鍾乳洞について学ぶことができます。
当麻鍾乳洞の歴史
1957年(昭和32年)石灰石の発掘中に発見された当麻鍾乳洞。
はるか1億5千万年前のジュラ紀から白亜紀前期、地下水の溶蝕作用が作り上げた石灰洞窟です。ゆっくりと長い時間をかけて当麻鍾乳洞となりました。
発見当時は、2頭の龍が横たわっているようなその形から「蝦夷蟠龍洞」と名付けられました。
1961年(昭和36年)、北海道天然記念物に指定され、名称も「当麻鍾乳洞」となりました。
当麻町に伝わる「蟠龍伝説・夫婦龍」の伝説と、昭和中期に発見された2頭の龍が横たわっている形状の鍾乳洞が結びつけられ、当麻「蟠龍伝説」として受け継がれています。
当麻鍾乳洞の施設案内
当麻鍾乳洞は一般にも開放されており、見学することができます(毎年4月29日~10月下旬)。
当麻鍾乳洞の利用料金は高校生以上600円・小中学生400円。営業時間は午前9時~午後5時(受付は午後4時30分まで)となっています。
夏休み期間中には、毎年大人気の期間限定で1日1組(最大8名)で、当麻鍾乳洞の営業終了後にヘッドライトの灯のみで歩く「洞窟ナイトツアー」が実施されています。
当麻鍾乳洞の周囲は、当麻鍾乳洞公園として整備されており、鍾乳洞の誕生と同時期の恐竜像が飾られ、おみやげショップも備わっています。
当麻鍾乳洞の場所とアクセス方法
旭川市に隣接する当麻町にある当麻鍾乳洞へは、車かタクシーで訪れることをおすすめします。
具体的なアクセス方法は以下のとおりです。
•JR旭川駅~JR当麻駅(石北本線、所要時間:約30分、片道約600円)。
•JR旭川駅~JR当麻駅(70番・75番道北バス、所要時間:約55分、片道約600円)
JR当麻駅→当麻鍾乳洞(所要時間:約15分・タクシー利用の場合、約3000円)。
〒078-1341 北海道上川郡当麻町開明4区
当麻鍾乳洞の龍の伝説、蟠龍伝説とは?
当麻鍾乳洞がある当麻町内を流れる、北海道NO.1の大河・石狩川。時折氾濫して人々を悩ませるこの川は、洪水で兄妹の両親の命を奪ってしまいます。
兄妹が当麻山に登り、「洪水が発生しないように、石狩川の流れを変えたい!」と強く願うと、天に両親の生まれかわりと思われる2頭の龍が現れたのです。
2頭の龍が大きな川を2つに割ると、その周りには肥沃な土地が現れ、2頭の龍が横たっているような鍾乳洞が発見されました。
豊かな農業地帯となるきっかけとなったこの出来事は、「蟠龍伝説・夫婦龍」として語り続けられており、毎年8月の第1日曜日、当麻鍾乳洞にまつわる蟠龍伝説から生まれた夏祭りが行われています。
当麻町では、まちのあちらこちらに「龍」にちなんだものがたくさんあります。
まとめ
当麻鍾乳洞は、透明度が高く美しい、また学術的にもとても貴重な、見どころ溢れる鍾乳洞です。
当麻鍾乳洞は、全長135メートル、比較的小規模ですので所要時間はゆっくり見ても15分くらいです。
はるかジュラ紀から、ゆっくりと長い時間をかけてできた当麻鍾乳洞。
当麻鍾乳洞の鍾乳石が3㎝成長するのには、約200年の歳月が必要と言われています。歳月の長さを感じながら見るのも楽しみの一つです。
当麻町では、当麻鍾乳洞の蟠龍伝説にちなんだ「蟠龍太鼓」、夏の「蟠龍まつり」など、町のシンボルとして龍を前面に押し出してPRに取り組んでいます。
美しい田園風景が広がる当麻町で、はるかはるか1億5千万年前に形成された当麻鍾乳洞を訪れて、古代のロマンと龍の伝説を楽しんでみてはいかがでしょう。
コメント