日本海に面した北海道・余市町の沖合、500メートルの海上にすっと立つ岩。その特徴ある形状から「ローソク岩」と呼ばれるようになった余市ローソク岩には、いくつかの伝説が残されています。
余市ローソク岩は、溶岩が海の水で冷やされてできた高さ約45メートルの岩です。海面からまるで天に向かって伸びる、まっすぐに屹立するその姿は神々しく孤高の存在のように感じます。
余市ローソク岩は、沖合にありますので、アクセス方法や駐車場についても気になりますね。
また、余市ローソク岩はオレンジ色に輝く夕日と岩の先端が重なる瞬間が、まるでローソクの先端に火を灯したような景観と話題になり、様々なメディアで取り上げられるようになりました。
余市ローソク岩は、夕日を背景に岩のシルエットが「映える」スポットとして、若い世代の間でも人気となっています。
この記事では、余市ローソク岩の伝説と歴史、アクセス方法や駐車場、そして余市町の特色などを詳しく解説します。
青い海に佇む、余市ローソク岩。その魅力をたっぷりお伝えします。
余市ローソク岩の伝説とは?
地元には、余市ローソク岩にまつわる幾つかの伝説があります。
①……約500年前の伝説
②……明治時代の伝説
③……スケールの大きな伝説
①まず1つめは、約500年前のお話。ニシンの豊漁に沸いていた頃、若い漁師が海の女神からもらった剣を持ち海の魔物退治に出かけましたが、若い漁師は戻って来ませんでした。その海に沈んだ剣が余市ローソク岩になって姿を現した、という伝説です。
②続いて明治時代、ニシン漁で大いに栄えた中でも、余市ローソク岩の近辺は特に優れた漁場でした。この頃余市ローソク岩は豊漁を表す海の神様、といわれていました。
ある時、豊漁だった余市ローソク岩のあたりに赤い炎が出現して魚を焼き尽くすので、地元の若者が神のお告げに従い剣で勝負を挑み勝利して、その剣が余市ローソク岩になった、という伝説です。
③また、スケールの大きな伝説としては、海外の神から地元の神が守った、というお話です。その昔、北海道の西端にある積丹半島を奪って持ち帰ろうとした海外の神に対して、地元の神が大きな縄で積丹半島と余市ローソク岩の根元を結んで守った、という伝説です。
余市ローソク岩へのアクセス方法と駐車場
日本海に沿って伸びる国道229号線を車で走行すると、海面からすっくとそびえ立つ高さ約45メートルの余市ローソク岩が目に飛び込んできます。
具体的なアクセス方法は以下のとおりです。
公共交通機関を利用する場合
余市ローソク岩の最寄り駅は、JR余市駅になります。
•JR札幌駅→JR余市駅(所要時間:約80分 片道約1300円)下車。
•札幌(北海道庁前1番乗り場・北海道中央バス 高速よいち号)乗車→JR余市駅(所要時間:約110分 片道約1300円)下車。
余市駅(北海道中央バス)乗車→潮見町バス停(所要時間:約20分・片道490円)下車。徒歩約2分。
車を利用する場合
車でのアクセスも非常に便利です。
札幌市内から余市ローソク岩まで車で向かうには(約55㎞)一般道を通るルートと有料道路(高速道路)利用するの2つのルートがあります。
•一般道を通るルート→道道124号線 国道5号線経由 約90分。
•高速道路→札樽自動車道経由、所要時間は約50分 片道約2000円。
余市方面から古平方面へ国道229号線を日本海沿いに走行。
ワッカケトンネルの北側を海の方へ行くと「ローソク岩展望駐車場」(無料)があります。余市ローソク岩を近くから見ることができます。
〒046-0033 北海道余市郡余市町潮見町沖
余市ローソク岩 その歴史
いつ頃から海上に余市ローソク岩が立っているのか、正確なことはわかっていません。
地元の言い伝えでは、まだ人々がこの地に足を踏み入れるずっと前、神様しかいなかった時代から、余市ローソク岩は、いまの場所に立っていたとされています。
余市ローソク岩が、現在の細長い形状になったのは、昭和時代になってから。古文書の絵図には、かなり太いシルエットで描かれており、昭和時代初期に撮影された写真では、現在より倍の太さだったことがわかります。
余市ローソク岩は、火山により溶岩が水中で冷やされた物質で構成され、見た目よりもこわれやすくなっているため、昭和時代以降はその形状に変化が起こりました。
1940年(昭和15年)の積丹沖地震で縦に亀裂が入り、さらに翌年の揺れで亀裂が入った箇所が広がり、まん中から片方が崩れ落ち、余市ローソク岩は、現在のようなほっそりとした形状になりました。
余市ローソク岩が立つ余市町の特色
余市ローソク岩がある余市町は、北は日本海に面し、他の三方はゆるやかな丘陵地に囲まれています。町の中央部をとうとうと余市川が流れ、水源が豊富で自然豊かな環境が特色のまちです。
また、年間の平均気温が8℃程で日によって温度の差が大きいという特徴があるため、果物の栽培に適した気候条件になっています。
そのため、明治時代から果樹の栽培が積極的に行われ、梨、リンゴ、ブドウなど道内トップクラスのフルーツ生産量を誇り「北のフルーツ王国」と言われています。
日本海に面しており、かつてはニシン漁で栄え、現在もカレイ、イカ、エビなどの漁業が盛んです。
農業と漁業が共存し、ウイスキーやワインなどの製造分野においても余市ブランドとしての地位を確立しており、北海道の魅力が凝縮されたようなまちです。
まとめ
余市ローソク岩は、神々しか存在していないはるか昔から、高さ45メートルの偉容を誇り、余市の海を象徴する存在として愛され続け、またいくつかの伝説が残されています。
余市ローソク岩は、オレンジ色に輝く夕日と岩の先端が重なる瞬間、まるで火を灯した一本のローソクのように見えて、とても神秘的で「映える」スポットとして、若い世代の観光客にも人気です。
余市ローソク岩は、バス路線上にあり、車で行ってもアクセスの良い場所で駐車場もあります。
豊かな魚介類に加えて、豊富なフルーツ、ワイン、ウイスキーなど様々な美味しさにあふれる、北海道を凝縮したような美しいまち余市町。
美しい夕日と余市ローソク岩のシルエットをスマホで撮影する際に、地元の若者と赤い炎の伝説のロマンにひたってみてはいかがでしょうか。
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