大河ドラマ『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』で、主人公・蔦重こと蔦屋重三郎がプロデュースして出版される遊郭・吉原のガイドブック『吉原細見(よしわらさいけん)』。
細見とは「細かく、詳しく見る(読む)ことができる地図、案内書」を指す名詞のこと。
蔦重が作った『吉見細見』とはどのようなものなのでしょう。
江戸時代中期に何度も発行された『吉原細見』。
約250年の時を経た現在も、当時の原本が残っています。
この記事では、以下のことについてご紹介していきます。
•『吉原細見』を初めて世に出したのは蔦重ではない?
•蔦重プロデュースの『吉原細見』はここが違う!
•『べらぼう』に登場する「細見」は閲覧できる?
•岩瀬文庫へのアクセス方法
『吉原細見』を初めて世に出したのは蔦重ではない?
『吉原細見』を初めて手がけたのは蔦重ではありません。
実は、蔦重が生まれる100年以上前から同種の案内本は遊郭内で販売されていました。
この当時の細見は「どの店にこの遊女がいる」とは書かれていましたが、肝心の店の場所が正確に記されていませんでした。
そのため、初めて訪れた人にとって使い勝手が良いとはいえなかったようです。
蔦重にとっては、知り尽くしている生まれ育った遊郭・吉原。
吉原に活気を取り戻すべく、花街や花魁の魅力を紹介して、120%楽しんでもらえる案内本の制作に取りかかります。
蔦重プロデュースの『吉原細見』はここが違う!
蔦重の『吉原細見』が成功した理由は、新しいアイデアにありました。
端的に表現すると、店の場所と遊女の名前がパッと見ただけでわかるように、
情報をギュッと詰め込んだのです。
従来と比較して、サイズはコンパクト、ページ数はほぼ半分。
かさばることなく、持ち運びしやすい、まさに理想的なガイドブックに刷新されたNEW『吉原細見』。
現代風に表現すれば、マンネリ化していた案内本をアップデート。
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江戸っ子はもちろん、物見遊山で吉原を訪れる地方の人にもわかりやすく使いやすい、そんなガイドブックに仕上がったのです。
蔦重ならでのディテールへのこだわり
蔦重バージョンの『吉原細見』には、他にも従来とは異なるプラスαのアイデアが盛り込まれています。
『吉原細見』の巻頭に序文を寄せているのは、『べらぼう』で安田顕さんが演じる天才・平賀源内。
希代の才人に原稿を依頼するあたりに、蔦重の編集者としての才覚が感じられます。
さらに、1783年(天明3年)発行の『吉原細見』では、
紹介する遊女の名前の上にマークを付記して、その遊女の“格”をわかりやすくアピールする工夫も施しています。
刷新された『吉原細見』は、蔦重が亡くなった後も年2回発行され、何と明治時代の1880年代まで出版され続けたのです
『べらぼう』に登場する「細見」は閲覧できる?
『べらぼう』に出てくる「吉原細見」は、いまでも原本が保存されており、一般の方でも閲覧可能です。
「吉原細見」を所蔵する西尾市岩瀬文庫で、大河ドラマ #べらぼう のパネル展示が明日2/18から始まります! https://t.co/BVcUZceUoW
— 日本観光振興協会中部事務局 (@jtachubu) February 17, 2025
愛知県西尾市にある「岩瀬文庫」では、江戸時代の古書約8万点を所蔵。
蔦重が作った吉原のガイドブック『吉原細見』や、浮世絵師と協力してる作った黄表紙(絵入りの娯楽小説)など約80点が展示されています。
「岩瀬文庫」は通常は研究者の利用がほとんどでした。
『べらぼう』でゆかりの地として紹介されたところ、週末の2日間で来館者が200人を超えるなど盛況。
土日には、整理券を配布しているようです。
岩瀬文庫へのアクセス方法
蔦重作ったとされる、約250年前の「吉原細見」の原本を見ることができる「岩瀬文庫」。
「岩瀬文庫」の最寄り駅は西尾駅になります。
具体的なアクセス方法は下記の通りです。
公共交通機関を利用する場合
名古屋駅(名鉄西尾線)「吉良吉田ゆき」急行乗車
→西尾駅下車(所要時間:約60分 片道約1000円)…徒歩約25分(タクシー約10分)……「岩瀬文庫」
車を利用する場合
一般道路利用
名古屋市内→名古屋市道名古屋環状線→国道23号バイパス→安城西尾IC→約15分→「岩瀬文庫」
(所要時間:約70分 約46キロ)
西尾市岩瀬文庫
〒445-0847 愛知県西尾市亀沢町480 TEL : 0563-56-2459
開館時間 午前9時から午後5時まで (閲覧室は午後4時まで・申請は3時半まで)
休館日 月曜日(祝日は開館)・年末年始・館内整理日(7月~8月を除く第3木曜日)整
入館料 無料
駐車場 80台(市立図書館と共用)
引用元:岩瀬文庫
まとめ
『べらぼう』で、蔦重がプロデュースして出版される遊郭・吉原のガイドブック『吉原細見』。
蔦重は、生まれる100年以上前からあった同種の案内本をアップデートしました。
情報をギュッと詰め込んで、サイズもコンパクト、ページ数はほぼ半分に。
持ち運びしやすい、理想的なガイドブックになったNEW『吉原細見』を作ったのです。
その蔦重が作ったとされる、約250年前の「吉原細見」の原本を「岩瀬文庫」で見ることができます。
『べらぼう』でゆかりの地として紹介されたところ、土日には、整理券を配布する盛況とのこと。
約250年前の蔦重を思い浮かべながら、ゆっくり見てみたいですね。
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